「馬の気持ちなんてわかるわけないじゃないですか!だって馬ですよ?」…2020年菊花賞前日。

 さて、菊花賞となったわけやが。

 

 先週の秋華賞、デアリングタクトが「粛々と」無敗の牝馬3冠を達成。

 

 じゃあ今週も続いてコントレイルが「粛々と」無敗の3冠達成…というのが戦前の圧倒的な下馬評。これを書いている時点のオッズもコントレイル単勝1.1倍、以下二桁倍率がズラッと並び、10番人気以下は単勝万馬券という極み付きの一本かぶり。秋華賞のデアリングタクト1.4倍、リアアメリア6.7倍というオッズと比べても支持率の突出ぶり。ここまでは父ディープインパクトとほぼ同じような流れで来ているが、さて結果はどうなりますかね?

 

 結論を先に書けば、自分はコントレイルに絶対の信頼は置いておりません。もちろん勝つ確率が一番高い馬であることは疑いようもありませんが、先週のデアリングタクトが「10回走って1敗するかしないか」だったのに対しコントレイルは「10回走ったら3敗くらいはしそうかな」この程度の差ですけどね。

 

 コントレイルにとっての未知数な部分を挙げると

 

①未対戦の「上がり馬」が結構そろっていること

②(ほぼ全ての馬に当てはまる普遍的な課題だが)京都芝3000メートルの特殊性

 

重箱の隅をつつけばもっと出てくるけど、大きなポイントはこのふたつでしょうか。

 

 ①に関しては何と言っても4月に未勝利戦を勝ち上がってから4連勝でセントライト記念を逃げ切ったバビットですね。前々走のラジオNIKKEI賞は完全に人気の盲点的な存在でしたが、セントライト記念では春のトライアル重賞勝利馬2頭を退けての見事な逃げ切り。「他馬の目標にされる」代わりに「自分でレースを作ることが出来る」という逃げ脚質のメリットの大きさを再確認しましたね。

 

 セントライト記念が終わった時には「バビットがペースを思いっきり落として、残り1000メートルあたりからじわじわスパート駆ける展開になったらコントレイル以外の馬が台頭して来てもおかしくないんじゃないのか?バビット自身は馬券内に残れないかもしれないけど…」そんな可能性もあるかなと思いましたが、そこは「チーム・コントレイル」、ちゃんと対策を立ててきましたね。

 

 キメラヴェリテ、菊花賞出走。

 

 正直「そこまでするか?」と思いますが、当事者にとっては「そこまでしても勝ちたい」ということなんでしょうね。実際にこれまで「そのやり方」で連勝を積み重ねてきたわけですから、無敗の3冠が掛かった大一番でやめる訳にもいかないんでしょう。

 

 スタート~直線入り口までにバビットが先頭に立ち、ペースを落とそうとしたところに外からキメラヴェリテが追って追って半ば無理矢理にでも並びかけるか、あるいは先頭を奪ってハイペースでレースを引っ張る…そんな光景が思い浮かびます。

 

 これまでコントレイルが出走した2000メートル以上のレースは(馬場条件など程度の差は多少ありますが)おおむね1ハロン12秒⇒1000メートル1分のペースで流れているんですね。この「遅すぎず、速すぎず」の展開を作り出しているのが「チーム・コントレイル」が用意しているペースメーカーによるものであることは半ば「公然の秘密」的なところもありますが、それが今回は皐月賞を担当したキメラヴェリテが務めるということなんでしょう。

 

 バビットが「番手でもOK」という馬なら問題ないのでしょうが、今までのレースぶりを見る限りではかなり神経質なところがありそうです。競り掛けられたときにも動ぜず自分のリズムを守ることが出来れば上位に食い込めるのでしょうが、現実的にはかなり難しそうです。でも「チーム・コントレイル」がペースメーカーを必要とするほどスローペースを嫌がるというのも、陣営がそこに弱点があることを自覚しているのかもしれません。それが折り合いに起因するものなのか、直線だけの瞬発力勝負に不安があるのかはわかりませんけど。

 

 今年は面白いことに、バビットのようなわかりやすい上がり馬のほかにも「古馬混合の2勝クラスを勝ち上がって来た」盲点になりやすい上がり馬が結構そろっているんですよね。この基準は秋華賞時にも挙げさせていただいて、結果牝馬限定戦とはいえ2勝クラスを勝ってきたソフトフルートが3着に食い込んだわけです。数年前に降級制度が廃止された関係で3歳馬の条件戦勝利のハードルが下がったとはいえ、秋華賞菊花賞に関して言えば今でも馬券内に入る資格としては充分なのでしょう。そしてその該当馬のほとんどはコントレイルと未対戦、どういう化学反応が起きるか楽しみな部分です。

(唯一対戦したターキッシュパレスが神戸新聞杯で0.6秒差の5着、この数字をどう見るか?)

 

 ②に関しては、距離の向き不向きに関しては正直やってみないとわかりません。ただ(天皇賞春も含め)勝つためのポジショニングとして「4角5番手」近辺が要求される舞台であることは間違いありません。コントレイル自身はおおむね前目でレースを運ぶ馬なのでスムーズにいけば問題はないはずですが、コーナーを6回もまわる過程で福永騎手がどれだけロスを少なく出来るかが注目です。元オリックスバファローズ監督の森脇浩司さんの著書「微差は大差」、菊花賞はこの言葉が凄く良く当てはまるんですよ。

 

 色々書いてはみたものの、スムーズに走れればコントレイルが差されるということはなかなか考えにくいです。「チーム・コントレイル」としてリスク回避のための手立ても充分打ってくるはず。でもそれがうまくいかなかったら?その時は神戸新聞杯で完全に「脚を測りに行く」レースをしたヴェルトライゼンデと池添騎手が今までの雪辱を晴らすかもしれません。90年代の的場騎手もそうでしたが、池添騎手も「相手を1頭に絞った」時は非常に怖い。どうなりますやら、明日が楽しみですな。

 

 かしこ。

「あまりにも順調に勝ちすぎているボクサーは、実は弱い。」…ロマチェンコVSロペス戦の雑感等々。

 今更だが、18日に行われたボクシング「ワシル・ロマチェンコVSテオフィモ・ロペス戦」について少し考えてみる。

 

 本ブログでは今まで野球と競馬の話題ばかり取り上げてきたが、ボクシングも割と好きなスポーツ。「格闘技」の枠内でくくるなら一番好きかもしれない。別に専門誌や有料チャンネルを購入するほどではないけど、面白そうな試合や選手が出てきたら調べてみようかな?と思う程度だけど。

 

 ひとえに「格闘技」と言っても今はジャンルが随分と細分化されちゃってて、最新の動向を追い続けるのは正直しんどい。15年くらい前までは

「立ち技のK-1」「総合格闘技のPRIDE」

という、名実ともに世界最高峰の舞台が日本国内に2つもあった。完全に年寄りの愚痴でしかないけど、あの頃は楽しかったな。まだUFCがメジャーになる前、ボクシング以外のプロ格闘技で大金を稼げるリングが日本にしかなくってさ。世界各地の訳のわからない背景を抱えた選手たちが「ジャパニーズ・ドリーム」を目指して集まって、良くも悪くも滅茶苦茶な興業や試合をして、それに格闘技ファンがいちいち熱狂したりして…いろいろあって、今は両方ともなくなってしまったんだけどね。あの時代は本当に「夢」みたいなものだったのかもしれませんね。

 

 話がそれた。今年に入ってタイトルマッチなど主要な試合が軒並み中止、延期の憂き目に遭い続けて来たボクシング業界。それが先月あたりになってようやく本格的な興業が(制限付きではあるものの)再開されるようになってきた。9月27日の「プレミア・ボクシング・チャンピオンシップ(PBC)」興行であったり、今月の「トップランク」興行であったり。

 

 PBCが1日に6試合を集中させたのに対してトップランクがほぼ1週間の間隔で試合を分散させたというのもなかなか面白い対比ですが、最大の注目カードと目されていたのが18日の「ワシル・ロマチェンコVSテオフィモ・ロペス」ライト級4団体王座統一戦。オリンピック2大会連続金メダリスト、かつパウンド・フォー・パウンド(PFP)現役No.1のロマチェンコが23歳の新鋭ロペスを迎え撃つという構図でしたが、下馬評は「キャリア、経験、技術に勝るロマチェンコがロペスを完封する」という意見がほとんどだったように思います。

 

 しかし、結果は3-0の判定でロペスが勝利。

 

 自分はこの日外出先で試合結果を知りましたが、第一の感想は

 

 「あぁロマチェンコ負けたのか、仕方ないかな」これだけです。

 

 前評判のあまりの高さからスポーツメディア上では「番狂わせ」の文字が溢れましたが、結果自体にさほど驚きはありませんでしたね(ジャッジ1名の「119-109」は流石にびっくりしましたが)。

 

 とにかくこの試合は、ロマチェンコに対してマイナス材料が揃い過ぎていましたからね。確かにフェザー~スーパーフェザー級までのロマチェンコは圧倒的なパフォーマンスを見せつけていましたが、ライト級に上げてからの4戦は勝ちはしたものの対戦相手を圧倒出来たというわけでもなく。その相手達も自身と同じく下の階級から上げて来た選手か、ライト級出身でも明確に格下という選手。「ナチュラルなライト級の強豪か、上の階級から下げて来た選手と対戦したら力負けするかもしれない」…一部で指摘されていたことですが、この条件にロペスはぴったりでしたからね。

 

 相手関係もさることながら、自身のプロとしてのキャリアもデビュー7年間でたったの16戦目という少なさ。そして1年2カ月ぶりという空き過ぎた試合間隔。しばしば「これ以上階級を上げるつもりはない、将来的にはスーパーフェザー級に戻りたい」という趣旨の発言も出るほど低かった、ライト級維持に対するモチベーションのそもそもの低さ。実態としての「綻び」の兆しは随所に現れていたはずですが…

 

 さて肝心要の試合内容。試合直後、一部のメディアからは「疑惑の判定」という文言まで飛び出していたので正直期待しながら動画を確認しましたが、まぁ悪い意味で裏切られましたね。前半~中盤にかけてのロマチェンコのあまりの消極さ!片やロペスの上下の打ち分け、特にボディブローが巧みで非常に有効的だったように映ります。後半にロマチェンコが持ち味を発揮しつつもとらえきれず試合終了。(あくまで私見ですが)自分の採点は116-112でロペス勝利(ロペス1~7、12R/ロマチェンコ8~11R)でした。これはジャッジ1名と全く同じ採点だったようですね。

 

 判定ってのは一応の基準はあれど最終的には個人の主観に委ねられる世界なので、ロマチェンコの戦い方を評価する方がいらっしゃっても不思議ではありません。ジャブを重視してボディブローを軽視するというのも、それはそれで見解のひとつでしょう。それにしても、だ。仮にも現役ナンバーワンの評価貰ってるボクサーがあんな戦い方をして、試合後「自分が勝っていた、後半は優位だった」と言われてもねぇ(その後、試合前に右肩を故障していたこと、手術を受けたことが明らかになったとはいえ)。

 

 だらだら書きすぎたので、今日のところは最後にひとことだけ。

 

 「パウンド・フォー・パウンドのナンバーワンってのも、当てになんねえなあ!」

 

 かしこ。

「馬の気持ちなんてわかるわけないじゃないですか!だって馬ですよ?」…2020年秋華賞、無敗の3冠牝馬誕生。

 一言で表現すれば「余裕」。この言葉が実にふさわしい、デアリングタクトの完勝。

 

 今年の秋華賞は「案の定」デアリングタクトの優勝に終わったわけですが、本当にただの通過点でしたね。道中はいつも通り後方からレースを進め、3コーナーから外々を回して直線入り口では5番手までポジションを上げました。あとはそのまま抜け出すだけ。2着に食い込んだマジックキャッスルにつけた着差は1馬身1/4という一見地味な数字ですが、個人的にはG1競走でここまで余裕綽々の勝ち方を見せつけられたのは久しぶりの気がします。いや、凄かった。

 

 ラップタイムは前半59.4秒、後半61.1秒。数字上ではややハイペースといったところでしょうが、上位に来た馬は道中10番手より後ろの馬がほとんど。稍重という馬場状態もあり、数字以上に前の馬には厳しいレースだったようです。2着以降はい人気薄勢が顔をそろえましたが、3着のソフトフルートは前走の夕月特別を4馬身差で快勝してきた馬。古馬混合の2勝クラスとはいえ、牝馬限定戦だったので「夏の上がり馬」の条件には厳密に当てはまらないと判断し名前は挙げませんでしたが…結果的には充分穴をあける資格は持ち合わせていたというわけですね。秋華賞に関しては牝馬限定戦でもOK。また一つ勉強になりました。

 

 負けた馬の中からもう1頭挙げるとするならマルターズディオサ。この厳しい条件下で果敢に逃げを打ち、結果7着に終わったとはいえ勝ち馬とはたった1秒しか遅れませんでした。元々チューリップ賞を勝つなど実績は確かでしたが、秋になっても近年の出世レースである紫苑ステークスを制した馬。デアリングタクトには敵いませんでしたが、古馬になってどのような成長を見せてくれるのか楽しみになりました。

 

 あとはデアリングタクトの次走がどうなるか?恐らくジャパンカップでしょうが、今日の余裕仕上げと違って次は全力の仕上げを施してくるでしょう。来週の菊花賞でコントレイルがどうなるかはわかりませんが、今のところではデアリングタクトに本命を打つつもりです。たとえコントレイルが菊花賞を勝ったとしても。

 

 何はともあれ、史上初・無敗の3冠牝馬誕生おめでとうございます。

 

 かしこ。

「馬の気持ちなんてわかるわけないじゃないですか!だって馬ですよ?」…2020年秋競馬、3歳戦線真っただ中。

 秋競馬。明日18日は秋華賞、来週26日は菊花賞。3歳戦線も真っただ中である。

言うまでもなく今年の3歳戦線は「無敗の2冠馬」2頭を中心に回ってきた。

 

 牝馬のデアリングタクト、牡馬のコントレイル。

 

 同一年に牡馬牝馬両方から3冠馬が出たケースはありません。3冠を達成するだけでも歴史的快挙なのに、今回は「無敗」というおまけ付き。実現すれば文字通り「空前絶後」の大記録となるかもしれないわけで、両馬がどのような走りを見せるのか?どのような勝ち方を見せるのか?競馬ファンやマスコミの注目はこの2点にほぼ固まっているのが現状ですね。まぁ当たり前のことですが。

 

 まず明日の秋華賞ですが、デアリングタクトはオークスから直行で挑むというローテーションを選択してきました。一昔前であれば2冠牝馬であっても秋華賞トライアル競走、特にローズステークスを経由して本番を迎えるという形が常識でしたが、一昨年に直行ローテで3冠を達成したアーモンドアイを皮切りに昨年は同じく直行でクロノジェネシスが優勝。馬の力や状態面に自信があれば、トライアルを挟まずとも勝つことは出来るレースと業界内で認知されたのは間違いないでしょう。

 

 実際、陣営としても自信があるんでしょうね。桜花賞オークス、共に決して展開に恵まれたレースではありませんでした。松山騎手は馬群をさばくのに大分苦労していたように見受けられましたが、進路さえ開けば前の馬を一気に捕まえてしまえる卓越した末脚があります。「秋華賞はあくまで通過点、ジャパンカップこそ真の目標レース」…もちろん公言はしないまでも、それくらいの意気込みが無ければなかなか選びにくいローテです(日本はトライアル競走の賞金が高いので、ほぼ確実に勝てるレースであれば極力出走させたいという現実的な思惑も働きますからね)。

 

 じゃあ相手はどうかというと、トライアル競走を勝った馬がリアアメリアとマルターズディオサ。両馬とも桜花賞オークスでデアリングタクトに完敗しております。2,3着に入り優先出走権を獲得した馬も優勝実績は1勝クラス(旧500万条件)止まりと、能力的な勝負づけはすでに終わってしまったと見て良いのではないでしょうか。

 

 あとは所謂「夏の上がり馬」と呼べる存在がいるかですが、昔からの基準である「夏場に古馬混合の2勝クラスの特別競走(旧1000万条件)を勝ってきた3歳馬」に照らし合わせると、残念ながら今年はゼロという結論に至ります。残るのは結局オークスで小差の2,3着に粘りこんだウインの2頭(ウインマリリン・ウインマイティー)が中心という、面白みも何もあったものではない見解に至ってしまいます。しいて言えば降雨の影響で時間のかかる馬場になりそうな点で、それを味方に出来そうな馬が誰か。

 

 ではデアリングタクトが負けるとしたら?一番考えられるのは2009年のブエナビスタのような差し損ねでしょうか。京都競馬場は基本的に差し、追い込みに不利な構造となっています。このコースを得意とする逃げ、先行馬が上手くレースを組み立てられれば、ブエナビスタと同じく後方からレースを進めるデアリングタクトの末脚をしのぎ切ることが出来るかもしれません。その筆頭格が先に挙げたウインの2頭ということになるわけですが、馬主の関係上少なくとも「デアリングタクトを負かすためのレース」は絶対にしてこないでしょう。勿論チャンスがあれば勝ちに行くんでしょうけどね。

 

 色々書いてはみたものの、今年の秋華賞に関してはデアリングタクトが突出していることは火を見るよりも明らかなので、正直あまり面白みはありません。むしろ来週の菊花賞の方が色々な意味で面白いことになりそうです。番狂わせが起こり得るとしたら、こっちなんじゃないかな~?

 

 かしこ。

「Add some music to your day」…ヘッドホンを新調してみました。

 昨日一昨日とAmazonさんで「Primeセール」があったので、これを購入した。

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 SENNHEISERのド定番開放型ヘッドホン「HD660S」です。今までずっと買おう買おうと思い続けてただ時間だけが過ぎていたという感じでしたが、この機会に思い切ったということですね。とても立派な箱の中には本体とケーブルが3本、取扱説明書、以上。本体のデザインもそうですが、内装も飾り気はありません。

 筐体はよそでも散々書かれている通りプラスチックむき出しですが、安っぽさはありません。組付けも隙なくビシッと組まれています。本器は「高級品」ではなく、あくまで「高性能な道具」なのだ…そんなメーカー側の意図がそこはかとなく感じとれます。

 

 一方、今まで使っていたのがこれ。

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  こちらはお世辞にも定番とは言えないかもしれませんが、SONYの10年前の密閉型フラッグシップモデル「MDR-Z1000」。スタジオモニターとして設計された品で、あちらこちらに「MDR-CD900ST」を思わせる外見上の味付けがなされているのはご愛敬。こちらも「高級品」ではなく「高性能な道具」です。要は、僕自身がこういうデザインが好きってことなんでしょうね。

 ヘッドバンドは表皮がボロボロになってしまったので別売りのカバーを付けてあります。イヤーパッドを交換したときに撮影した写真が残っていたのでついでに貼ってみましたが、このクリーム色のドライバーがなかなか高価な素材だったという話を聞きました。ほかにも目立ちませんがハウジングがマグネシウム合金製であったり、今の観点から見ても非常にコストが掛けられた品物だったんだなあと。

 残念ながら?それとも必然ながら?今年生産終了になってしまったので、新品で購入できるのは今が最後かもしれません。でも決して大ヒットしたとは言いにくい本機を10年の長きにわたって作り続けたSONYという企業はやはり凄い体力の持ち主なんだなと改めて実感する次第であります。

 

 新品のオーディオ機器は程度の差はあれ慣らしの期間が必要なもので、HD660Sも音が落ち着いてくるまでには200時間くらいかかるとのこと。これからどういう音に変わっていくか楽しみですね。今日のところはここまで。

 

 かしこ。

「ストレートは大胆に、変化球は低めに。」…続々・2020年ドラフト会議について。

 「プロ志望届」提出が先日10月12日に締め切られ、今年の本当の意味での「ドラフト候補」が確定した。

 

 この「プロ志望届」という制度が現行のシステムになったのが2007年。以来「波」はあるものの、高校生・大学生ともに100人前後、計200人近辺というのがこれまでの相場だった。

 

 ただ、今年は状況が状況、事情が事情である。

 

 正直なところを言えば、自分は「減る」方向に働くのではないかと予想していた。高校生大学生、共に「自己アピール」が出来る最大の舞台である全国規模の大会が軒並み中止、及び内容の大幅な変更を余儀なくされた。プロ球団側もスカウト活動の大幅な制限を余儀なくされた。選手側が「商品価値の証明」が出来ず球団側も「商品価値の見極め」が出来ない、ということは両者ともに慎重な判断を下すのでは?そう思っていた。

 

 しかし両連盟から発表された数字⇒高校生216人 大学生158人 計374人

 

 いずれの数字も過去最多を大幅に更新して来た。ここまで完璧に予想が外れるとむしろ清々しいくらいだが、当日は志望届の無い社会人野球や独立リーグの選手もリストに加わることを考えれば総計は恐らく500人近くになる。例年ドラフトで指名される人数は支配下枠7~80人・育成枠2~30人、だいたい100人前後というのが相場だ。志望者数と違ってこちらは大幅な変動は起こらないので、(あくまでも人数上においては)今年のドラフトは日本プロ野球史上最も狭き門ということになってしまうのだろう。

 

 ではなぜにこのような状況となったのか?答えらしきものを求めるとするならば、高校生の志望者数が例年の倍となったところに見出せそうな気がする。

 

 高校球児の「夢」や「目標」は「甲子園」であり「プロ野球選手」であるのが古今通じてのスタンダードなのだろうが、プロ入りするための現実的な手段として大学野球や社会人野球を経由するというのもまたスタンダードだった。高校時代に頭角を現わせなかった選手や当落線上の選手、下位指名が濃厚な選手などが「スポーツ推薦」や「野球部セレクション」といった方法で大学進学や企業に就職して、そこで数年かけて実力や実績を積み重ねて商品価値を高めて…というキャリアパスが明確に存在した。今までは、そうだった。

 

 ただ、くどいようだが事情や状況は大きく変わってしまった。そしてその変化、いや打撃はプロ球団側よりもアマ球界側により深刻な影響を与えてしまったのかもしれない。それ自体でお金を生み出せるプロと違い、アマチュアは興行ではないため活動資金を経営母体(ここでは学校法人や企業)に依存しなければいけない。その資金が削減されたらどうなるか?当然活動の規模は縮小せざるを得ないし、最悪の場合チーム自体が消滅するに至るわけだ。

 

 自分はただのド素人なので具体的な情報など何一つ持ち合わせてはいないが、大学野球でも東京六大学・東都大学・首都大学・関西学生などの「主流リーグ」や、地方でも全国大会で実績を残してきた一部の強豪大学を除いては、今年は「野球枠」で入学できる学生が相当少なくなってしまったのではないか?そんな気がしてならないのだ。

 

 「景気」がよりダイレクトに影響してくる社会人野球はなおのこと。日本国内の経済状況の悪化が続き、長いことこの流れで来ていたところに今年のコロナ禍である。今までぎりぎりのところを何とか踏みとどまってきた企業のチームも、これから数年で活動を諦めてしまうところは続出するのであろう。伝統あるアマチュア野球選手の受け皿であった社会人野球という仕組み自体が、ひょっとしたら消滅してしまうかもしれない…

 

 でも昔にはなくて今にはあるのが「独立リーグ」という枠組みなわけで、独立リーグから指名を受ける選手もずいぶん増えて来た。最近ではプロ野球を一度戦力外になった選手が再起を賭ける場としてここを選択した人も多い。現に今年でも元阪神の歳内宏明投手がヤクルトに復帰出来たのだ。今後独立リーグは「プロ志向のある選手」共通の受け皿として、規模も競技レベルもどんどん上がっていくだろう。そしてNPBとも互角に渡り合えるような球団が出て来てくれれば、王貞治会長の掲げる「プロ野球16球団構想」も現実味を帯びて来るのではないだろうか…

 

 いつの間にかドラフトから話題が逸脱してしまったが、アマチュア球界の衰退はプロ球界の衰退に直結する重大案件だから1野球ファンとしても思うところはある。今回はその流れが今年のドラフトからも感じ取れてしまった、という話さ。

 

 かしこ。

「ストレートは大胆に、変化球は低めに。」…続・2020年ドラフト会議について。

 昨日「中京大中京の高橋君がプロ志望届提出か、いや~びっくりしたね!でもこんなご時世だし、また大きな動きが続くかもわからんよね?」

 

 おおむねこのような内容の文章を書いた記憶があるのだが、そしたら今朝のスポーツニュースだよ。

 

 東海大の山崎伊織プロ志望届提出。

 

 いやいやいやいやそれはそれはそれは…確かに大学4年間で叩き出した実績は文句なし。東海大が圧倒的な力を持っているとはいえ、日体大桜美林大など自力のある大学がひしめき合う首都大学野球リーグにおいて通算11勝1敗、防御率1.09。奪三振数が少なめではあるものの、まさしく「圧倒的」な活躍をした逸材であることは論をまたない。今年の春先段階では「大学生ナンバーワン投手」と評価する関係者も多く、ドラフトでも強豪は必至と謳われていたわけだ。

 

 ところが6月、抱えていた右肘の不安が顕在化するに至りトミージョン手術に踏み切ることとなる。当然リハビリ期間を考えると2シーズンは戦力になれないかもしれない。よって今年のプロ入りは諦めて社会人野球入りし、体調を万全にして再来年のドラフトに賭ける…このようなシナリオがとっくに出来上がっていた、はずだったのだ。

 

 それがまさかの一転攻勢である。自分は初報を読んだときに思ったのが「これは順位縛りがかかっていそうだな」ということだった。故障持ちの自分を受け入れて内定を出してくれた企業への義理もあるし、それなりに上位の指名でなければ予定通り社会人野球のつもりだろうと。しかし続報によると「育成枠でも構わない」との文言。つまり「順位縛り無し」という、良すぎるくらいの思い切りの良さ。

 

 競合ドラ1クラスが、内定先の立場や体裁などお構いなしに順位縛り無しでプロ入りする。昨日の高橋のように「受験に落ちたからプロ野球にします」のようなシンプルな話ではない。自分は野球の競技経験など皆無だし関係者でも何でもない唯の1傍観者に過ぎないが、この現象が旧来の常識ではありえないことくらいは察することは出来る。

 

 ここから先は自分の憶測に過ぎないが、例えば山崎の受け入れ先だった企業がこのコロナ不況のあおりを受けて野球部の強化費を大幅削減する流れとなっていたとしたら?

ー2年間丸々チームの戦力として計算することの出来ない投手をリハビリさせるためだけに雇い続けるほどの余裕はなくなってしまったー

 ただでさえ社会人野球界は廃部や活動休止、クラブチーム化など縮小化が続いてきた、追い打ちをかけるようにコロナ不況だ。このような状況の激変がアマチュア球界全体に起きている可能性もあるのではないか?何の確たる情報も根拠もないが、そんな予感めいた考えが自分の頭をよぎったのだ。

 

 それはそれとして、本来競合クラスの逸材がドラフト下位でも指名可能になったということはプロ球団にとって非常に興味深い事態であることは間違いないだろう。右肘などを中心とした体全体のリハビリや投球フォームの抜本的見直し。実戦復帰には2年、本格的に1軍の戦力になるまでは3年かかるかもわからない。それだけ根気強く待ち続けられる余裕と「モノにさせられる」自信がある球団は勝負してみたくなるだろう。

 

 選手の人生がかかっている重大さはよ~く承知しているけど、それでも非常に「面白い」流れが今年のドラフトでは続いている。はてさて、この先どうなることやら…

 

 かしこ。