「馬の気持ちなんてわかるわけないじゃないですか!だって馬ですよ?」…2020年秋競馬、3歳戦線真っただ中。

 秋競馬。明日18日は秋華賞、来週26日は菊花賞。3歳戦線も真っただ中である。

言うまでもなく今年の3歳戦線は「無敗の2冠馬」2頭を中心に回ってきた。

 

 牝馬のデアリングタクト、牡馬のコントレイル。

 

 同一年に牡馬牝馬両方から3冠馬が出たケースはありません。3冠を達成するだけでも歴史的快挙なのに、今回は「無敗」というおまけ付き。実現すれば文字通り「空前絶後」の大記録となるかもしれないわけで、両馬がどのような走りを見せるのか?どのような勝ち方を見せるのか?競馬ファンやマスコミの注目はこの2点にほぼ固まっているのが現状ですね。まぁ当たり前のことですが。

 

 まず明日の秋華賞ですが、デアリングタクトはオークスから直行で挑むというローテーションを選択してきました。一昔前であれば2冠牝馬であっても秋華賞トライアル競走、特にローズステークスを経由して本番を迎えるという形が常識でしたが、一昨年に直行ローテで3冠を達成したアーモンドアイを皮切りに昨年は同じく直行でクロノジェネシスが優勝。馬の力や状態面に自信があれば、トライアルを挟まずとも勝つことは出来るレースと業界内で認知されたのは間違いないでしょう。

 

 実際、陣営としても自信があるんでしょうね。桜花賞オークス、共に決して展開に恵まれたレースではありませんでした。松山騎手は馬群をさばくのに大分苦労していたように見受けられましたが、進路さえ開けば前の馬を一気に捕まえてしまえる卓越した末脚があります。「秋華賞はあくまで通過点、ジャパンカップこそ真の目標レース」…もちろん公言はしないまでも、それくらいの意気込みが無ければなかなか選びにくいローテです(日本はトライアル競走の賞金が高いので、ほぼ確実に勝てるレースであれば極力出走させたいという現実的な思惑も働きますからね)。

 

 じゃあ相手はどうかというと、トライアル競走を勝った馬がリアアメリアとマルターズディオサ。両馬とも桜花賞オークスでデアリングタクトに完敗しております。2,3着に入り優先出走権を獲得した馬も優勝実績は1勝クラス(旧500万条件)止まりと、能力的な勝負づけはすでに終わってしまったと見て良いのではないでしょうか。

 

 あとは所謂「夏の上がり馬」と呼べる存在がいるかですが、昔からの基準である「夏場に古馬混合の2勝クラスの特別競走(旧1000万条件)を勝ってきた3歳馬」に照らし合わせると、残念ながら今年はゼロという結論に至ります。残るのは結局オークスで小差の2,3着に粘りこんだウインの2頭(ウインマリリン・ウインマイティー)が中心という、面白みも何もあったものではない見解に至ってしまいます。しいて言えば降雨の影響で時間のかかる馬場になりそうな点で、それを味方に出来そうな馬が誰か。

 

 ではデアリングタクトが負けるとしたら?一番考えられるのは2009年のブエナビスタのような差し損ねでしょうか。京都競馬場は基本的に差し、追い込みに不利な構造となっています。このコースを得意とする逃げ、先行馬が上手くレースを組み立てられれば、ブエナビスタと同じく後方からレースを進めるデアリングタクトの末脚をしのぎ切ることが出来るかもしれません。その筆頭格が先に挙げたウインの2頭ということになるわけですが、馬主の関係上少なくとも「デアリングタクトを負かすためのレース」は絶対にしてこないでしょう。勿論チャンスがあれば勝ちに行くんでしょうけどね。

 

 色々書いてはみたものの、今年の秋華賞に関してはデアリングタクトが突出していることは火を見るよりも明らかなので、正直あまり面白みはありません。むしろ来週の菊花賞の方が色々な意味で面白いことになりそうです。番狂わせが起こり得るとしたら、こっちなんじゃないかな~?

 

 かしこ。